December 2010

メタルスミス

今年も残すところわずかとなりました。
ブログを更新できないまま2010年、どんどん過ぎてしまいました!

2010年、こんなことがありました。

アメリカのメタルスミスという工芸の専門誌に作品が選ばれ、掲載されました。
(掲載された号の表紙です。)
metalsmith表紙.jpeg

メタルスミスマガジンは、国内外のアートジュエリーを紹介しているジュエリーというよりもアートよりな雑誌です。
毎年「Exhibition in Print - 誌上展示」と題して、世界中から作品を応募し、選ばれた作品で1冊分紙面で展示をするという企画をしているのですが、今年初めて受かり、雑誌に載りました。

実は21歳の時、少し彫金の学校に通ったことがあって、そこでこの雑誌に出会い、アートジュエリーを知り、その世界に魅せられ、ニューヨークに留学することを決めたのでした。そんなわけで、私にとっては、最初からずっと夢見て来た、支えられて来た雑誌でした。

学生の頃から、他のコンペには出した事も殆どないのに、このメタルスミスのコンペにだけは毎回出して来たように思います。
いつも落ちてしまうので、今年はもうやめようかと思ったのですが、いつもは写真選考、ジュエリー写真3点までとかなのですが、今年はウェブサイトでもOKと書かれていたので、面倒ではない、という理由でメールでこのサイトのアドレスを送信クリックしたのでした。

写真では分かってもらえない私のジュエリー。やっと理解してもらえたようです。

この誌上展示は、毎回キュレーター(美術館でいうと館長にあたる人。企画から選考まで全てを行う人)が選ばれ、違うテーマで行われるのですが、今年のテーマは、「現代の宮殿」でした。
今回のキュレーター、クラーク氏は美術評論家であり、美術館での展示の企画にも数多く携わり、著書も沢山あるそうです。

そんな彼の経験から生まれた今回の企画は、雑誌を読みながらまるで展示場を実際に見て歩いているような錯覚にさせる。。。というコンセプトでした。
そこで彼は展示場所として「18世紀の、あまり知られていない王子が使っていた、ヨーロッパのどこかにある小さい宮殿」という架空の場所を設定しました。
その栄華を極めた宮殿はやがて廃墟となり、壁は落書きで覆われ、がらんどうになっている。。。その中の様々な部屋に、選ばれた作品がちりばめられ、そこを彼のガイド(どんな部屋に、どんな風に作品が展示されているのか、とても詳しく書かれている)に従って、場所の雰囲気を想像しながら、堪能して行くというように、構成されています。
正直とても創造的、想像的で、面白い内容でした。
そんな内容の濃い展示の一員に加われてとても幸せでした。

(ちなみに私のジュエリーは「装飾品の回廊」と名付けられた広い廊下に展示されている設定です。私のジュエリーの紹介ページ。見開きになってます。)

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metalsmith2.jpeg

英語を読むのはすっかり苦手ですが、嬉しかったので1週間かけて訳しました。

訳して行く中で、一番嬉しかった部分は、彼の選考のコンセプトでした。
「私は常識を逸した作品を選んだ。綺麗さにこだわらず、かしこまったところもない。その全体のオーラはウィットに富み、常識に囚われず、(高価なものを使っているわけではないのに)魅惑的な美しさを放ち、高価なものとは違った贅沢さを感じさせてくれるもの。」
この世界的経済危機の時代に、「本当の贅沢とは何か?」と問いかけ、大きなダイヤや、宝飾がちればめられていなくても、それくらい心を贅沢にしてくれる作品を選んだというのです。

心の贅沢は、いつでも私が一番大切にして制作していることですから、本当の意味で理解され、選んで頂いたのだなぁと、しかも何百もの応募の中からたったの15人の中に含んで頂いたのだなぁと、とても感慨深くなりました。

また、この雑誌にちなんで、ちょうど今、11月から来年の1月まで、メンフィス(テネシー州)にある National ornamental metal museum (国立装飾金属美術館←直訳するとこんな感じです。。ちょっと変な名称になってしまいましたが。。笑)で、作品が展示されています。
ギャラリーではなく美術館で私のジュエリーが展示されるのは初めてのことなので、それも、とても嬉しかったです。

それから、このコンペに受かって一番喜んでくれたのはボストンのモビリアギャラリー。私が唯一日本国外で作品を出しているギャラリーです。
大喜びで大々的な広告を雑誌に掲載してくれました。
新作(といっても半年前ですが)のブレスレットです。

mobilia ad.jpeg

邦題は「水たまりに映る夢」詩も付いています。


実は2010年は私にとって、とても変化の年でした。
正直作品はあまり作れませんでしたが、私生活の新しいことが沢山あって、とっても忙しくしていました。
去年までポツンと作業机に座って、寝てから寝るまで、ずーっと制作している単調な(でも一人ファンタジーな)生活とは全く違う、ぼんやりする時間のない1年でした。
作品を作る時間がなくて、やきもきすることも沢山ありました。そんなわけで、ブログの更新も行えないまま年末に!
でも、きっとそんな年も大切ですね。

来年はそんな事言ってられません。
3月には青山一丁目にあるギャラリーで母と一緒に展示をします。
その後は7月にグループ展、11月に個展がボストンで待っています。
おちおちしている暇はありません。
来年は沢山の抱負を抱えて、夢を抱えて、作品をつくりたいと思います。

それでは急に寒くなりましたが、お身体にはお気をつけて、良いお年をお迎えください。

前田朝黄